第2章 メールアドレスを奪取せよ

福田康夫官房長官からの依頼

ビル・クリントン政権が電子メール盗聴システム・エシュロンシステムを
遠距離通信を盗聴するだけでなく、国内の地域回線までも盗聴できるシス
テムに発展させました。つまり、エシュロンシステムを政治、外交目的以
外の、企業や個人を対象とした盗聴システムとして完成させました。しか
し、エシュロンによる盗聴にはメールアドレスが必要なので、米国政府が
興味を持っている組織、人物を対象に、メールアドレスの収集が始まりま
した。エシュロンは特定の英数字を通信の中から抽出するのですが、その
英数字にメールアドレスを指定しさえすれば、指定されたメールアドレス
で送受信される全てのメールを盗聴できるからです。長期間に渡り、調査
対象になっている人物のメールアドレスが対象になりました。私も調査対
象です。ビル・クリントン米国大統領が森善朗首相に、私のメールアドレ
スを要求してきました。ビル・クリントン米国大統領は絶対に誰にも存在
が明るみにならないエシュロンシステムで使用するので問題なしと主張し
ました。そして、テロリスト等に対する実績を示して納得させ、私のメー
ルアドレスの入手を約束させました。森善朗首相はエシュロンシステムが
何であるか理解もできないまま、福田康夫官房長官に指定された人間のメ
ールアドレスの入手を指示しました。福田康夫官房長官から依頼された東
哲郎現社長は、栃折早敏現部長に、会社のメールアドレスではない、私の
個人用のメールアドレスの入手を指示しました。東哲郎現社長は、盗聴用
のメールアドレスため会社のメールアドレスでは都合が悪いぐらいの機転
は利かせたつもりです。しかし、このような考えは浅はかな、バカな考え
でしかありません。もし私が社内のメールアドレスと個人用のメールアド
レスの間でメールのやり取りをした場合、社内のメールアドレスがエシュ
ロンに伝えられ、社内のメールアドレスをエシュロンに登録しさえすれば、
社内のメールアドレスまでもが盗聴されてしまうからです。自宅にあるP
Cと社内にあるPCでのデータを共有するために、社内メールアドレスと
個人用のメールアドレスでメールを交換することは誰でも普通に行うこと
であり、盗聴目的にメールアドレスを提供するなど、天に唾をする行為に
すぎないのです。しかし、栃折早敏現部長はかねてから動向調査に利用し
ている私の友人の藤縄正、野口一成と渡辺純夫に秘密裏に私の個人メール
アドレスの入手とついでに栃折早敏現部長に対する心象についても調査を
依頼しました。私に対する嫌がらせを指揮して部長になったので、気に掛
かるのです。こういう人間は、どうしようもない人間の典型です。つまり、
行ってはならないと理解しながら、発覚しなければ良いと考え、実行する
のです。もし、発覚していないと確信できるなら、心象調査など不必要で、
発覚する可能性を認識しつつ、不安に思いながら実行するということです。
このような人間には、つける薬はなく、死ぬまで直らないと思いました。

また、米国政府は日本政府に要請するだけでは不十分と考えて、私に関す
る独自の情報収集ルートの開拓を試みました。私の勤務先と提携関係にあ
る米国企業に諜報員を潜入させました。そして、ある日、米国の提携関係
にある会社から、テクニカル・スペシャリストという人間が派遣されまし
た。部屋の中央のドアから入ってきました。入ってくるなり部屋の中を見
回して、私の方を見て視線が止まるのが遠目にも確認できました。私はこ
の立ち居振る舞い等々に違和感を感じました。ジーンズにカッターシャツ
というこざっぱりとした服装で、白人で小太り、口ひげをはやしていまし
た。身長は180cm、体重100kg程度でした。それとなく私の隣の
同僚の谷本秀征に話しかけてきました。同僚の谷本秀征はアメリカに駐在
したこともあり、話好きなので気軽に応じていました。私は、米国政府が
動向調査に送り込んだ諜報員であると判断しました。そんな人間にわざわ
ざ英語で話しをするのはわずらわしく感じて無視しました。調査目的があ
る場合なら、相手の側からかならず話しかけてくるし、話しかけられた内
容によって調査目的も分かるので、相手に話しかけないようにしました。
結局、話しかけられなかったので、調査目的は分かりませんでした。おそ
らく特定の目的を定めていない素行調査なのだろうと思いました。そのテ
クニカル・スペシャリストは米国に戻った後、その提携会社を辞めてしま
いました。米国政府は私に対する情報の独自ルートの開拓はあきらめまし
た。



次は、”第2章 メールアドレスを奪取せよ 〜友人達と過ごすG.W.〜”です。

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