第3章 エシュロン発覚

悶々と過ごした日々

メールアドレスに対する謎は解けないまま月日が過ぎてゆきました。メー
ルアドレスを秘密裏に入手していったい何をするつもりなのだろうか?
西京エレクトロン株式会社側にメールアドレスが渡されたあとでも、特に
変化はありませんでした。スパムメールが来ることもないですし、ウイル
ス、ワームの類が送付されてくるということもありませんでした。もちろ
ん、普通のメールが西京エレクトロン株式会社の人間から送付されてくる
ということもありませんでした。親姉妹からも手紙、電話はもちろん、メ
ールも送付されすこともありませんでした。送付されてきたメールは心当
たりのあるメールだけでした。一体何が考えられるのであろうか?誰にも
相談することもできずに一人で悩みました。同じことを悩んでいても堂々
巡りで、考えが浮かばないので気分転換をして、また再び悩むことの繰り
返しになりました。そうこうしているうちに20世紀も終わり、21世紀
になりました。世間は例年より騒がしい年末になっているようでした。

2001年3月、私は趣味に関連するイベントにメールで申し込みを行い、
その1週間後イベントに参加したところはじめて会った申し込み相手が自
分を意識していることに、違和感を感じました。特に何がどうという説明
はできませんが、全体的に変な感じがするという感じでした。とりあえず、
イベントでのお礼のメールを送り、様子を伺いました。そのグループが集
まる掲示板に、誘いを受けたりして、なんとなく違和感を感じながらも、
その掲示板に書き込みも行ってみました。すると、大げさに歓迎されてい
るように違和感は感じるのですが、違和感の対象はわからずじまいでした。
実は、メールの受け取り相手は、私の動向調査に利用する目的で、日本政
府から私に近づくように、依頼されていたのでした。全く素早い段取りで
ただ驚きました。

世間では森善朗首相の支持率は一桁になり、予算も成立し、自与党の総裁
選挙が前倒して、実施されることになりました。小渕恵三首相の死去とい
う突発事態ではありますが、密室で5人組により森善朗首相が選ばれまし
たが、良いところなく、退陣することになったので総裁選挙で選ばれる必
要があると思いましたのでこれはこれでよいと思いました。しかし、過去
にも、突然首相がいなくなることはあったのに、大平正芳首相の例では、
1月以上も首相が不在になるということがあっても、突然首相がいなくな
った場合のことを何も決めていない変な国であることには困まり果てて、
呆れてしまいます。あくまでも日本の将来は無責任で、絶対責任を取らな
い、一部の政治家が勝手に決めるというバカなシステムは何時になったら
改められるのでしょうか?そんな事態に何の対応も事前に決めていないで、
そのときのどきで右往左往する手前勝手なこの国はどうなっていることや
ら、わけが分かりません。

総裁選の立候補者は、橋本龍太郎議員、小泉純一郎議員、亀井静香議員、
麻生太郎議員になりました。私の評価は次のようような感じでした。まず、
橋本龍太郎議員は、相手に対して頭の良いところを見せようとして、部分
的に自説を通すが、相手を理解し、合わせてしまうところが多く、政策の
焦点がボケてしまい、効果が上がらないように思いました。小泉純一郎議
員は総裁選挙になると出てきますが、政策が偏っていて、支持を広げられ
ません。持論である郵政事業の公社化は決定済みで、持論を訴えても、支
持は得られないと感じました。亀井静香議員は、政策はありきたりで、何
か政策について発言しなければならないので、誰かの政策をまねて発言し
ているだけのように思いました。そして、言動が森善朗前首相に似ている
ので、支持はされないと思いました。麻生太郎議員については全く知りま
せん、何者なのでしょうか?風貌からすると、政策の立案、実行というよ
り、批評家タイプのように思いました。そして、ジョーカーともいえる田
中真紀子議員が立候補するわけでもないのに、波乱を起こしました。小泉
純一郎議員が田中真紀子議員と組んで今回は総裁選に参加するだけではな
く、勝負を仕掛けてきました。しかし、勝負の仕方が政策ではなく、国民
の民度を考えた上での人気取りというのが仕方なくもあり、情けなくもあ
りました。そして、田中真紀子議員が小泉純一郎議員を支持する理由も政
策ではなく、ポストを得るための手段と割り切っているようにも思えまし
たし、竹下派の流れを汲む橋本龍太郎が再び首相の座に付くのが厭だとい
うようにも思えました。しかも、自由民主党の総裁選挙の公約として、
「自由民主党をぶっ壊す」などと言っていますが、どうしてこのような公
約が成り立つのか理解できませんでした。その政党を壊すと公言する人間
を、その政党を支持する党員がその政党の総裁に選ぶという考えが理解で
きませんでした。ただ、現在の閉塞感が漂う雰囲気を考えると、キャッチ
コピーとしては的を得ていると思いました。しかし、何の意味もないキャ
ッチコピーで、党の総裁を選ぶ党員も選ばれる総裁もたいしたことはない
と感じました。これも国民の民度を考えると仕方のないことなのでしょう。
その選ばれた総裁が日本の首相になると思うとどうなることやらと悲観的
なことばかり考えてしまいました。こんな世間の喧騒をよそに、違和感を
抱えたまま悶々と日々を過ごしていました。



次は、”第3章 エシュロン発覚 〜これだ!〜”です。

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